クエン酸のpH値はいくつ?水溶液の濃度別に実測値を公開!
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クエン酸は、「弱酸」に分類される酸です。塩酸や硫酸などの「強酸」に比べれば、クエン酸の水溶液は穏やかな酸性を示します。
しかしクエン酸は、弱酸のなかでは強めの酸です。クエン酸水溶液のpHは、おおよそ2程度ですが、濃度次第でずいぶんと変化します。高濃度なら、クエン酸水溶液のpHは1を下回るのです。
この記事では、低~高濃度まで広い範囲で筆者が実測した、クエン酸水溶液のpHを公開しています。また、酢とのpHの比較も行います。
クエン酸水溶液のpH測定値一覧(濃度別)
pH計を使い、クエン酸水溶液のpHを実際に測定しました。広い濃度範囲でのpH測定結果を、表にまとめます。
- クエン酸水溶液のpH(実測値)
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クエン酸濃度 pH クエン酸濃度 pH 40% 0.91 2.5% 1.81 30% 1.08 1% 2.12 20% 1.21 0.5% 2.33 10% 1.42 0.25% 2.47 5% 1.63 0.1% 2.67 濃度は質量パーセント濃度(w/w%)。 クエン酸水溶液の調製には、無水クエン酸(ニチガ製)と精製水を使用。
クエン酸濃度40%では、pHは1未満の強酸性になりました。濃度が下がれば、当然酸性も弱まり、pHは上昇します。それでも、0.1%ではpHが2.67と、まずまず強めの酸性を示しました。
濃厚なクエン酸水溶液は強い酸性を示しますが、酸の危険性や安全性、腐食性などは、必ずしもpHだけでは決まらないことに注意してください。クエン酸は、食品にも利用できるほど安全性の高い物質です。
pH(ピーエイチ)とは、水溶液の酸性~中性~アルカリ性といった液性を数値化した指標です。ちょうど中性では、pHが7になります。7より小さいと酸性であり、大きいとアルカリ性を示します。
pHが1変化するごとに、液性を決定づける「水素イオン(H+)」の濃度は、10倍変化します。例えば、pHが3の水溶液に比べ、pHが2の水溶液では10倍の濃度の水素イオンが存在します。
クエン酸と酢、酸性が強く、pHが低いのはどっち?
クエン酸は、酢の成分である「酢酸」よりも強い酸です。濃度が同程度なら、酢酸水溶液より、クエン酸水溶液の方が低いpHを示します。
食酢を化学的に捉えると、4%程度の酢酸のほか、様々な有機酸やアミノ酸、糖類などの微量成分を含む水溶液です。一般的な穀物酢では、pHは2.7程度です。
すなわち、0.1%クエン酸水溶液は、一般的な食酢と同程度のpHを示します。
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補足:pH測定について
pH測定には、ラコムテスター製のポケットタイプpH計「pHTestr®30」を、測定直前に6.86, 4.01, 9.18の3点のpHにて校正して使用しました。
水溶液調製で使った精製水は、測定時は全国的に品薄だったため、カーバッテリー液を使用しています。
まとめ
クエン酸は、弱酸のなかでは比較的強い酸です。掃除などによく使われる濃度の薄い水溶液なら、pHはおよそ2程度と覚えておくと、よい目安になります。